推しは誕生日に入籍を発表し、オタクは自分の誕生日に推しと出逢ってからの5年間を振り返る。

2021年7月22日。推しの誕生日だった。


そして入籍を発表した日にもなった。


僕の推しはSNSが苦手だった。そんな人が2020年10月にオンラインサロンを開設した。毎日ブログを更新し、高頻度で動画がついていて、月一で生放送とラジオがあるという充実した内容だった。Twitterで出演する番組の告知を出演者の中で一人だけしていないようなSNS下手の推しとは思えなかった。

 

コロナ禍でイベントの開催自体が難しい時代だった。推しも例外ではなかった。ラジオのイベントは中止。主演作のライブは無観客。そんな中 2021年7月11日には一度中止になったラジオのイベントが行われた。番組の5周年を会場でお祝いすることができて本当に嬉しかった。

 

僕が推しを知ったのもラジオからだった。

 

2016年。聴いていたラジオを最新回まで全て聴き終えて次のラジオを探していた。そんな時にたまたま出会った番組のパーソナリティの一人が推しだった。底抜けな明るさを感じさせる一方で独特な感性を持ち、芯が強い女性だった。推しの話を聴いている時間は楽しかった。

 

自分が送ったメールを読んでもらえるのが嬉しかった。面白いメールというよりも推しに笑ってもらえたらいいなと思ってメールを書いていた。他のラジオにゲスト出演する時もそのラジオのチャンネル会員(有料)になった。もちろんメールもしたし、また呼ばれてもいいようにチャンネル会員は継続した。

 

イベントにも自分が好きなコンテンツには出来る限り参加した。初めて参加したイベントでは「ドレスコード」という名目で僕はブラジャーを着用して参加した。(※推しはブラジャーを着けている男性が好きという個性的な方だった)単純にネタとして楽しかった。その後も何度かブラジャーを着けて参加していた。

 

ある日 推しがほぼ初めましての方が多いイベントにゲスト出演することが2週間前くらいのギリギリで発表された。勿論参加した。イベントが開始され自己紹介の件でブラジャーについて盛り上がった。そのオチで推しが「私のイベントにはいつも着けてきてくれる人がいるんです。今日はいますか?」と会場に投げかけた。挙手したのは自分だけだった。

 

恥ずかしい、辛い。そんな気持ちは無かった。「あ、着けてきて良かった」と心の底から安心した。もし自分が着けていなかったらオチが弱くなるところだった。せっかくの推しが目立っている場面、それも初めて推しを見るお客さんが多い場所で自分がいたことで盛り上がったのは喜びや目立ったことへの優越感より安心している自分がいた。

 

僕はトークイベントが中心でライブはあまり参加できなかった。

 

僕の推しは有名コンテンツの音楽戦術ユニットのメンバーだった。それで知った人がほとんどだと思う。そしてメンバーの中での人気は残念ながら一番下だった。別に僕にとってはどうでもいいことのはずなのだけれど、毎日推しの名前と愛称でパブサする自分には「人気がない。歌が下手。かわいくない」そういう意見が辛くて、苦しかった。

 

ユニットありきで好きな人が多かった。「自分が好きなメンバーとの絡みが面白かった」「同じユニットのファンだからCDを買った」そんな人が多かった。否定はしない。ありがたい。ただ誰かの引き立て役にされているのは悔しかった。

 

推しは自分が一番目立つタイプではなかった。

 

常に周りをよく見ていて、自分に求められているものをよく理解している人だ。良く言えば司会も裏回しも出来るタイプ。悪く言えば器用貧乏。

 

そんな推しもソロアーティストデビューが決まった。2019年7月24日ミニアルバム「女の子はDejlig」

 

推しのソロデビューのCDを買うのは当たり前だろう。たとえそれがどんな出来だったとしても、好きな曲がなくても。発表された時はそう思っていた。楽曲が発表されていくにつれ杞憂だったと思わされた。楽曲はどれも世界観が違い、それぞれが魅力的で、リーディングパートで声優としての力も見せつける。合同とはいえ作詞にも挑戦した。本当に素晴らしい作品になった。特に売り上げが良かった悪かったという話は聞かなかった。話題にも挙がらなかった。ただソロ活動の続きはもう見れないんだろうなと感じる。

 

初めて推しに認知されるという感覚を味わった。ラジオのメールに自撮り写真をつけていたらいつの間にか覚えられていた。アルバムのリリイベで久しぶりに会った時に顔を見ただけで名前を呼ばれた時は本当に驚いた。ラジオのDJCDで「リスナーの名前を10人言えますか?」というお題に対し自分の名前が最初にあがっただけで嬉しかったのにそれ以上に嬉しいことがあるとは思わなかった。その後直接会える機会は無かったが2021年5月に行われたオンラインお話会で「流石に名乗らないと分からないか…」と言って名乗ったら「知ってます」と言われた。ズルい。

 

2000文字で終わってしまう僕の5年間。終わり。おしまい、おしまい。

 

 

 

 

ここからは6年目の話。

 

推しは自分にとって憧れだ。凄く抽象的な表現だと自分でも思う。自分には持っていないものをたくさん持っている。

 

推しの笑顔を見ると幸せな気持ちになった。これから先もきっとそうなんだろう。

 

本気で恋をしているわけではなかった。恋という感情とはまた違うものだと思う。この5年間彼女が1度も出来ていないのは単純に自分のせい。

 

恋ではなかったけど入籍の発表を見た時は無力感を味わった。初恋が実らなかったあの時を思い出した。告白をするわけでは無いけど好きな女の子を遠くから見ていた。たまに話せると嬉しくて嬉しくて。寝る時に思い出してニヤニヤしていた。そんな初恋の子は僕の知らないところでクラスメイトと付き合っていた。僕がドキドキしていた時も彼女には彼氏がいた。そんな感情。どんな感情?

 

自分がどれだけ面白いメールを送って推しが笑ってもその時だけで終わってしまう。分かりきっていた当たり前のことなのだけれど、それが事実なのだと突きつけられた気がした。

 

自分でも今後どうなるかは正直わからない。2021年7月26日おめでたい僕の27回目の誕生日。今の気持ちだけは残しておこうと思う。

 

お誕生日、ご入籍おめでとうございます。

 

あなたが幸せになることが本当に嬉しいです。僕はあなたを応援してきた日々が楽しかった、幸せだった。この先あなたを応援し続けるかもしれないし、どんどんフェードアウトしていって興味を失うかもしれない。そんなこと今の自分にはわかりません。ただ、結婚したからあなたが変わってしまうとは思っていません。僕が憧れるあなたはきっと変わらないでしょう。そうだとしたら僕の気持ちも変わらないと思います。

 

あなたに出会えて良かった。あなたを応援していた良かった。こんなに楽しい気持ちも、こんなに辛い気持ちも、こんなに悲しい気持ちも、こんなに幸せな気持ちもあなたに出会わなければ知らなかった。

 

僕は今幸せです。

 

ありがとうございます。

 

 

このブログはここで本当におしまい。

 

 

 

 

 

 

最後の最後に。本名の自分からかくにへ

俺と君は違う人格だと思っているからことばを残しておきます。このブログを1年後に読み返してどう思っているのか楽しみです。もし気持ちが変わっても責めたりはしません。あなたが笑顔で生活をしていることを本名の方の自分としては応援しています。色々辛いこと、楽しいことあるけどさ、一応同じ人間としてお互い頑張ろうね。